ここでは、高温プラズマに関する4つの現象と、粒子(電子と
プロトン)シミュレーション法について、以下の4つのカテゴリー
に分類して説明します。
1.レーザー照射ペレットのクーロン爆発
2.磁気リコネクション: 散逸の起源:
3.マクロ(メソスケール)粒子コードの開発
1.の研究は、強いパルスレーザー(10_18 W/CM2以上、50フェムト
秒)の照射で起きる、主成分プロトン、微量の重イオンを含む
ペレットの急速加熱とクーロン爆発(飛散)を研究したものです。
手法として、N体問題を相対論的に厳密に解く「分子動力学法」
を使用しています。このコードは田中基彦が独力で開発しました
(大阪大学レーザー研村上氏と理論共同研究)。
2.は、地球磁気圏で太陽風プラズマとの相互作用を原因として
起きる磁気リコネクション現象において、磁気流体(MHD)理論が
求める散逸(電気抵抗)の起源についての研究です。この散逸は
MHD理論の枠外で起きる見掛け上のものであり、電子がプロトンと
別個の3次元自由度で運動する「電子慣性」が原因であることを、
マクロ粒子コードにより、世界で初めて証明しました。
3.は、メソスケールの運動論(粒子)現象を扱うための粒子
シミュレーション手法のオリジナルな開発を行ったときの研究です。
4. 惑星磁気圏ショックの形成
5. プラズマ中の波動励起、加熱と加速現象
4.は、惑星周辺の磁気圏境界に、太陽風との相互作用で形成
されるショック構造について、主に島津浩哲氏の研究で、2.の
マクロ粒子コードとハイブリッドコードを使用しています。
5.は、高温プラズマ中の密度非一様性やビームを自由エネルギー
として起きる波動不安定性と、その結果生じる電子やイオンの
加速と加熱の研究です。
また、波動と粒子の相互作用によって異常電気抵抗が発生
します。LHD(Lower-hybrid drift)不安定性は一時、地球磁気圏
で発生する磁気リコネクションを支える異常電気抵抗の由来と
考えられていましたが、実際は1.で述べる電子の慣性抵抗が
原因です。
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